俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



『桜田雅を助けたかったら、××の工場に1人で来い』


「……わかった」



佐久間は〝1人〟を強調していた。


パタンッとケータイを閉じると家に向けていた足を××の工場に変える。


佐久間、

ただじゃおかねぇ……







「来たか」



古びた工場内に足を踏み入れるとそこには佐久間がいた。



「雅はどこだ」


「来て、いきなりそれかよ」



それ以外に興味がないんだよ。


……例えば、俺を囲むように立っている10人の男達とか。


やっぱり佐久間だな。

卑怯すぎる。



「言っとくけど、桜田雅はここには居ないから」


「…………」


「おお、コワ。……やれ」



頭で俺を殺るように指示を出す佐久間。それを聞いた男達は俺に向かって走って来た。