『桜田雅を助けたかったら、××の工場に1人で来い』
「……わかった」
佐久間は〝1人〟を強調していた。
パタンッとケータイを閉じると家に向けていた足を××の工場に変える。
佐久間、
ただじゃおかねぇ……
◇
「来たか」
古びた工場内に足を踏み入れるとそこには佐久間がいた。
「雅はどこだ」
「来て、いきなりそれかよ」
それ以外に興味がないんだよ。
……例えば、俺を囲むように立っている10人の男達とか。
やっぱり佐久間だな。
卑怯すぎる。
「言っとくけど、桜田雅はここには居ないから」
「…………」
「おお、コワ。……やれ」
頭で俺を殺るように指示を出す佐久間。それを聞いた男達は俺に向かって走って来た。



