だからって……!
佐久間の野郎が、何で涼に突っかかってくんのかは知らねぇーけど……。
こんな卑怯なやり方、大ッ嫌いだ。
「殴んねぇと気がすまねぇ……」
夏風が弱く、あたしの髪を揺らした。
そんなあたしを見た香は悲しげに笑い「雅が羨ましい。こんな良いダチ持って」と呟いた。
「なに言ってんだ。俺が佐久間にキレてる理由、少なからずお前も入ってんだからな」
あたしの言葉を聞いて、目をまん丸に見開く香。
当たり前だろ?
「さっきの事は綺麗に……とは言わないけど、水に流してやる。だから……
――雅を嫌いとか、そんな悲しいこと言うなよ……」
唯一無二の兄弟なんだろ?
それなのに嫌いだなんて、そんなのは悲しすぎる。



