どこか儚げな瞳で笑う香に、どうしてか同情してしまうあたしが居る。


雅の顔をしているからかな……



「香も本当の仲間をつくれば分かるよ。な?遥」


「おう!」



いいこと言うじゃん!って言いそうな顔で笑った遥と、雅が居ると言われた倉庫に向かって歩き出した。



「あともう一つ!君達の本当の敵は他に居るよ」



背中に投げかけられた言葉に立ち止まって、振り返る。


本当の敵?



「佐久間だ……」


「佐久間!?」



そう香の言葉に
過剰に反応したのは遥だった。


佐久間?

その名前、どこかで聞いたような……



『新しい“桜”の仲間だ。……佐久間にもそう伝えろ』



そうだ!

春に涼を助けた時に涼が出した名前だ。