俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。


瞬間的に声のした方向に体を向ける。視界に入った人物に、あたしも遥も目を丸くする。



「雅……」


「やぁ、泉くん」



黒髪にピンクのメッシュ。
ニヤリと笑った口から八重歯。


間違いない。

雅だ……



「雅、正直に答えろ」



身体中に緊張が走る。


挑発するような表情をした顔を斜めに傾けた雅を真剣に見つめて。


一旦、深呼吸をする。



「お前は俺達を裏切ったのか?」


「うん。そうだよ?」



―――ドクンッ…!


『うん。そうだよ?』


嘘、だよな……?



「お前っ…それ本気で言ってんのか!?」


「そーだけど?」



遥の問いに、さも当たり前の如く答えた雅に怒りを覚える。


マジかよッ……