ハッと、周りを見る。見渡しても立っているのは遥だけ。 そして意識があったのは、あたしと遥の2人だけだった。 もちろん、馬乗りで今の今まで殴っていた男も含めて、だ。 「勝ったんだよ……。も、いいだろ?」 ゆっくり、あたしはうなずいた。 そしてユラリと立ち上がり、ゆっくりと握っていた拳の力をほどいていった。 手の間接がキシキシ痛い。 手の間接のところ、アザになっているか内出血しているのだろうけど。 血で見えない。 あたし、何度この手を血で染めれば気が済むんだろう……。 自分が怖い。