そんなあたしに恐怖を感じたのか残っている男達が2、3歩後退った。
「ははっ……逃がすかよ」
今のあたしは
狂ってるって言われてもおかしくない。
あの日と同じだ。
裏切られたあの日も手の感覚がなくなるまで、人を殴ってたんだっけ?
――また、手の感覚がない。
「もう、やめとけって!」
振り上げたあたしの右腕を、遥がケガをしていない右腕で止めた。
何回殴っても、
何百回殴っても、
足りないくらいだ。
「まだ許してない。許せない!」
「落ち着けって!!」
右腕に力を込めるも、遥に止められているために動かない。
止めるな……!
「これ以上殴れば、死ぬぞ!?」



