弱い。弱いからさ、あたし。
遥の仇をとることぐらいしかできねぇーや。
スッと立ち上がる。強く握られたあたしの手の平に強く爪が食い込む。
今なら人が簡単に殺せそうだ……
もちろん、そんな馬鹿なことはしないけれど。本当に出来そうな自分が怖い。
ザワザワと胸の内が暴れだす。それは、あたしの瞳に〝殺気〟として姿を現していた。
久しぶりのこの感覚。
春に涼がリンチされていた時以来だ。
だが、その比にならないくらいに……
今のあたしは、怒っていた。
ツーと頬を流れる涙は次第に地面に儚く落ちて、堕ちて、行く。



