でも、それは浅はかな考えだった。 バットを振りかぶった一人の男の手とバットを掴んで止めていた時だった。 違う男が横から、あたしを狙ってバットを振り下ろして来たんだ。 くそっ……!! ヤバいっ―――! 「ぐあぁっ!!」 工場内に響いた悲痛な声は。 「遥っ――!!??」 あたしをかばって、バットを受け止めた遥の声だった……。 まるで時間が止まったようだった。 「ちょっ……どけ!」 バットと手を掴んで止めていた男の腹を力強く蹴り飛ばして遥に駆け寄る。 左腕をおさえて顔を歪ませる遥。