俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。


「あ、俺帰るわ」



突然、雅がカバンを持ちながら言った。


帰る……?



「おう、じゃあな」



遥がケータイに目を向けたまま、雅に軽く手を振った。


また女とメールか……


あたしも遥に続けて雅に手を振る。


すると雅はあたし達に「またな」と笑顔で八重歯を見せて帰って言った。


3人になった屋上。


遥はケータイ。
涼はボケッと空を見てる。


暇だ……



「ふぁあ~」



水で濡れて体感温度が丁度よくなったからか、急に眠たくなった。


近くの壁に背中を預け、瞳を閉じたあたしは夢の中に入って行った。