俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



「なぁ、授業サボろーぜー」



めんどくさそうに遥が頭の後ろで腕を組みながら言った。
だれもいない廊下を俺をふたりが挟んで歩く。



「そうはいかないよ。今日は転校生が来るんだから」



そう言ったのは雅だった。



「転校生?」


「さっき職員室前でサットン達が話してた」



サットンは俺達の担任、佐藤のことだ。
だらしなく髭を生やした、無駄なイケメンセンコー。


転校生か……。



「ならソイツ見てから抜けようぜ」


「そうだな」



教室の扉をガラガラッと開ける。
HRは既に始まっていた。


先輩達のせいでサットンにどやされる。
元ヤンだからあのセンコー怒らせると鼓膜破れそうになるんだよなぁ。


……考えただけでダルい。


こんなことなら、俺も先輩達を思う存分殴っとくべきだった。