「離せって!」 恭輔の腕を振り払った。 「あのな……一つ言っとくけど」 「はい」 「ケンカが強くなりたければ、負けろ。それが手っ取り早い」 え、とでも言いたげな恭輔の表情。 負ければ負けるほど、 ケンカは強くなるもんなんだよ。 「あと、特別に俺の必勝法を教えてやる」 「え!なんすか!それっ」 「ぜってぇに勝つ、って信じること。気持ちで負けたらケンカは絶対に負けるからな」 あたしの言葉に「ほぉ~」と、笑顔でうなずく恭輔。 これは、 お父さんに教えてもらった必勝法。