月明かりだけが頼りの路地裏。座り込んでそんな世界を照らす月を見上げる。
だりぃ……。
目線を地面まで下げると息苦しそうにうずくまる不良の男3人。
帰宅途中、たまたま通った道がこいつらの自称縄張りだったらしく、殴りかかって来た。
たく、情けねェやつらだな。
「ケンカ売って来たのはお前らだっつーの……」
首に手を置いて頭を回す。
そして立ち上がり、歩き出した。
───シュボッ。
ポケットから出した煙草。
それにジッポのライターで火を点ける。
吐き出した煙は4月の空に消えた。
満開に咲く桜。
夜空がそれを幻想的に見せる。
今日はいつもより星が輝いてみえる。
――…そう、星を見ていた時だった。