お前、わざと避けなかったんだな…
俺に打順を回すために
一希がタンカーで運ばれていく
一希…
俺はお前の期待に答えられないよ…
小さくなっていく一希の姿を見つめていた
一希の治療のためにしばらく中止になった
ベンチに帰ってもどんな風にバッターボックスにはいればいいか分からない
俺の脳裏には「負」のコトバがあった
「果梨先輩、電話です」
「こんな時に誰だよ…」
「病院からだそうで…」
俺はそのコトバに体が強張った
差し出された受話器を恐る恐る耳を充てた
「はい…」
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