「あっ、そっか。そうだよね。ひと足遅かったか」
もう少し急げば良かった。
とシュンとして、さらっさらの髪の毛を片耳に掛けて、彼女はフフッと笑った。
胸騒ぎがした。
なぜか、すごく、焦った。
わざと避けるように教室を出ようとするあたしを、とっさに彼女が呼び止める。
「あのっ」
「なに?」
「聞いてもいいかな?」
ダメ、とあたしが返答するのを待たずして、彼女は一方的に聞いてきた。
清楚な顔して、けっこう図々しい女だ。
「明日の球技大会」
「え?」
「夏井くんが出る種目、分かる?」
キラキラした純粋なその目を見て、なんとなくピンときた。
なにせ、あたしはカンが鋭い方なのだ。
このステキ女子、補欠に気があるな。
「……野球」
と口にした瞬間、しまった、と後悔した。
「えっ、本当?」
ぱあっと花開くように笑顔になった彼女を見て、後悔した。
何やってんだい、あたし。
教えなきゃ良かった。
なんで教えてしまったんだい、あたし。
イライラする。
泣きたいくらい、後悔に押し潰されそうになった。
その時、
「あのーっ!」
あたしの前にずいっと出て来たのは、明里だった。
もう少し急げば良かった。
とシュンとして、さらっさらの髪の毛を片耳に掛けて、彼女はフフッと笑った。
胸騒ぎがした。
なぜか、すごく、焦った。
わざと避けるように教室を出ようとするあたしを、とっさに彼女が呼び止める。
「あのっ」
「なに?」
「聞いてもいいかな?」
ダメ、とあたしが返答するのを待たずして、彼女は一方的に聞いてきた。
清楚な顔して、けっこう図々しい女だ。
「明日の球技大会」
「え?」
「夏井くんが出る種目、分かる?」
キラキラした純粋なその目を見て、なんとなくピンときた。
なにせ、あたしはカンが鋭い方なのだ。
このステキ女子、補欠に気があるな。
「……野球」
と口にした瞬間、しまった、と後悔した。
「えっ、本当?」
ぱあっと花開くように笑顔になった彼女を見て、後悔した。
何やってんだい、あたし。
教えなきゃ良かった。
なんで教えてしまったんだい、あたし。
イライラする。
泣きたいくらい、後悔に押し潰されそうになった。
その時、
「あのーっ!」
あたしの前にずいっと出て来たのは、明里だった。



