夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「……やかましい」


「キョウヤー!」


横からあたしに睨まれていることにも、一切気づく様子はない。


男は大粒の目を輝かやかせて、ひとだかりの後方に向かって右手をブンブン降った。


「いてっ」


その手が、一発、あたしの肩に直撃した。


こいつ、どういうつもりだ!


「おい、お前」


と詰め寄った瞬間、


「キョウヤ! おれたち一緒のクラスだぜ! B組!」


言葉を失ってがっくりきた。


まじかよ……。


でかい図体に、オーバージェスチャー。


「キョウヤ!」


おまけに、このでかい声。


これは一体、何の嫌がらせか。


やかましいこの男と一年間も同じ教室で、朝から夕方まで過ごさにゃならんのか。


がっくし。


「翠、翠!」


「ああん?」


「やった。うちら同じB組じゃん!」


やった、と隣で嬉しそうにジャンプする結衣の笑顔だけが、せめてもの救いに思えた。


「……お先真っ暗じゃ」


ぼつりと呟いた。


せっかく、親友と同じクラスになれても、こんな空気の読めなさそうな巨大なマルコメが居るんじゃ……。


がっくり肩を落とした瞬間だった。


「ケンゴ。お前、ちょっと声でかいよ」


その声が背後に聞こえた。


なんて物静かな話し方をするのだろう。