夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

すごいんだから。


補欠はすごいんだぞ。


あの、片腕で6試合を投げ抜いて、甲子園行きの切符を掴んだ男なのだ。


「ね! 先輩!」


顔を上げると、先輩は二枚目に笑って、


「当然」


こくりと頷いた。


先輩の隣で、若奈ちゃんが号泣していた。


「ねえ、翠ちゃん……夢って、叶うものなんだね……」


「うん」


でも、あたしにはこうも思えるんだ。


夢は叶うものじゃなくて、叶えるものなんじゃないかって。


補欠が、夢を叶えたように。


己の手で叶えるために夢ってのが存在しているんじゃないかって。


あたし、思うんだ。


「夢。叶えるために……人は頑張れるんだよ」


結衣と明里が手を繋いで、泣いていた。


グラウンドに視線を戻した時、先輩に肩を叩かれた。


「翠ちゃん。ほら」


「え?」


「ほら、あっち」


先輩の指が示す方を見て、あたしは言葉を飲んだ。


そこに立っていたのは、本間先輩と、


「翠ちゃんてさ、何つうの、勝利の女神かもなあ」


懐かしい、ステキ女子だった。


ふたりは、手を繋いでいた。


「……翠ちゃん」


久しぶりだね、そう言った彼女は心配になるほど痩せ細っていたけど、可憐さが増して大和撫子そのものだった。