夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「吉田……吉田……よし」


【吉田 翠】


「あった! ありましたがな! ディスカバリー!」


ずらりと並ぶ初めて目にする名前の大名行列の後方尾に、確かに、あたしの名前がある。


やった!


なんてツイてるんだ。


しょっぱなから結衣と同じクラスになれるとは。


お先、明明だ。


「翠!」


小さな手が、あたしのブレザーを掴む。


「あーっ、瀕死の結衣、到着ー」


悲惨だべー、と軽く息切れをしながらようやく結衣も最前列に姿を表した。


ぼっさぼさに乱れた赤毛。


無惨な姿だった。


いかに、人にもまれたのかがよく分かる。


「翠、自分の名前見つけたか?」


「まあな」


結衣と一緒だよ。


「えー、何組だった? あたし、翠と一緒がいいな」


目を輝かせて、結衣が掲示板を凝視している時だった。


あたしの左隣に居た背の高い男が叫んだ。


「キョウヤ! キョウヤ!」


その声が、あたしの左耳を容赦なくつんざく。


左耳の奥で、ジャンボジェットが離陸した。


キィーン。


左耳に人差し指を突っ込んで、


「声でっけえなあ」


その男をキッと睨んでやった。


丸坊主頭。


小麦色の肌。


なんだ、こいつは。


男のくせにやかましいったらない。