夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

相澤先輩と話す横顔をじーっと見つめていると、補欠が微笑みを向けて来た。


「ったく。ムチャしやがって。待ってろって言っただろ?」


「……だってさ」


ふう、と呆れたように補欠が笑った。


「翠、来てくれてありがとう」


すごいな、補欠は。


すごいと思う。


照れくさくて素直になれなくて、あたしは簡単には言えない言葉を、補欠は素直に真っ直ぐに伝えてくる。


「ありがとな、翠」


そういうとこも、好き。


「翠ちゃん」


補欠に見とれていると、先輩に言われてハッとした。


「夏井に渡す物があるんだろ」


「うん、先輩」


あたしの首からお守りを外した先輩は、


「自分で渡した方が効き目あるよ」


とあたしの手に握らせた。


「うん」


それをぎゅっと握りしめる。


「補欠」


「うん?」


「これ。大会が始まる前に渡せなかったから」


ゆっくり、指を開く。


「……え」


あたしの手の中をじっと見つめて、補欠は固まってしまった。


ごめんね。


「遅くなって、ごめんね」


遅すぎるよね、ほんとにごめんね。


でも、どうしても、補欠に渡したかったんだ。