夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「一般の方は、ここからは入れない事になってるんで。すいません」


「ああ、知ってるよ。でも、緊急なんだ。今回だけ見逃してくれないか」


おれ、南高OBなんだけど、時間に間に合わなくて……と先輩が言っても、


「いや、困ります」


彼は頑としてそこを退こうともしない。


いつものあたしなら「どきな!」くらい簡単に吐き捨てて突入することができるのに、本当に気力がなかった。


「先輩、いいよ、しょうがないよ……」


そもそも、あたしが言い出して、こんな事になってしまったのだ。


これ以上の迷惑を先輩にかけるわけには……。


「諦める……」


あたしが言うと、先輩が睨んで来た。


「簡単に諦めんなって。なんとかしてやるから」


「なんとかって……」


「OBのコネ、なめんなよ。こういう時こそ使わなきゃなあ」


「けど……」


見ると、門の前にはやっぱり一年生部員が立っていて、威嚇する番犬のようにあたしたちを見つめていた。


夏の日差しが、容赦なく照り付ける。


体はどこか寒気さえ感じるのに、汗が額に滲む。


その時だった。


「隼人さん! おす!」


門の向こう側に現れたのは、一年前よりかなりあか抜けて、大人の色気さえ感じる本間先輩だった。


「淳平」


「遅くなったっす! 応援席、超満員で、なかなか抜けられなくて……て、えっ!」


夏井の! 、と相澤先輩に抱きかかえられたあたしを見るなり、本間先輩は目をくるくる大きく開いた。


「え、なんで? 何があったんですか?」


おどおどする本間先輩を見て、先輩ははぐらかすように苦笑いをした。