夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

補欠は無愛想なんかじゃないってこと。


補欠はさりげなく優しいんじゃないってこと。


たまにしか見せてくれない笑顔が、最強に眩しいってこと。


本当は、めちゃくちゃ優しいやつだってことも。


無表情の下に、猛烈な感情を隠していることも。


他にもたくさん、あたし、知ってるんだ。


あの日、恋に落ちたあの瞬間から、ずっと見つめているから。


知ってる。


あたしの好きなひとは、青く澄んだ夏の空がよく似合う。


夏井 響也(なつい きょうや)。


野球部で、まだ補欠だけど。


補欠ほど青く澄んだ夏空が似合う男はいない。


あたしは、空を見上げた。


「運命よ、これは、運命だ!」


晩夏の青空を、巨大な雲がスローペースで東に流れていく。


太陽の陽射しが、降り注ぐ。


補欠は今日も、青空の下にいる。












猛烈な衝撃だった。


5ヶ月前の、入学式の日のことだ。


あたしに、稲妻が走った。


これは、あたしの勝手な妄想に過ぎないけど。


もし、落雷が人体を直撃したら。


その瞬間の衝撃は、たぶんあたしが受けたものと同じじゃないだろうか。


言葉では説明しがたい、猛烈なのに優しい感触の衝撃だった。