夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「帽子、ですか?」


「うん。できればつばが広い物で、陽射しを避けられるような物が一番いいんだけど」


「陽射し……ですか?」


「そう。誰か持っていないか、他のナースにも聞いてみてくれないか?」


「はあ」


「それと」


長谷部先生はあたしの肩にそっと触れて、看護師さんに告げた。


「この子、こらから外出するから。外出許可を出したのは、僕だから。いいね」


えっ、と看護師さんが目を見開いて、息を吸い込む。


「でも、彼女は昨日」


「いいね!」


先生の大きな声が病室を突き抜けて、夏の青空が広がる窓の外へ吸い込まれていった。













「僕は医師失格です」


そう言って、長谷部先生はあたしにつばの広い帽子をかぶせて、苦笑いした。


「ひとりの大人としても、失格者です」


そして、薄手のタオルケットをあたしに巻きつけると、


「君、名前を」


と先輩を見つめた。


「相澤隼人、といいます」


緊張した面持ちで、先輩が答える。


「相澤さん」


「はい」


「翠さんの外出が許される時間は4時間が限度です。あと、今の彼女にこの炎天下は危険です。命とりになりかねない」