こんなとこで立ち止まってて、あたし、高校卒業できんのかよ。
「あたし、夢があんの」
しゃくりあげながら言うと、枕に顔をうずめる母の肩がピクリと動いた。
「まず、補欠に甲子園に連れってもらう」
その補欠には、愛想を尽かされてしまったのかもしれないけど。
「それから、南高校を卒業する」
できれば、結衣、明里、花菜ちん、それから、健吾、補欠と一緒に。
「んで、世界をまたにかける通訳」
「ほう」
枕に顔を押し付けたまま、母はフフと声を漏らした。
「そりゃ、でっかい夢だな」
あたしは鼻水をダラダラ流しながら、母を睨んだ。
「けど、もっとでっかい夢があんの」
「……何だ」
ゆっくり、顔を上げた母の目はうさぎのようにまっ赤だった。
その夢がもし叶うなら、甲子園も卒業も、世界をまたにかける通訳も、潔く諦められる。
それくらい、今のあたしにとってはでっかい夢かもしれないけど。
「けど、こんなことの繰り返しじゃ、叶えらんないと思う」
「分かんないだろ。叶うかもしれん」
母とあたしは睨み合いながら、ボロボロ涙をこぼし続けた。
あたしの一番の夢。
まだ、誰にも言った事ないけど。
だって、口に出したら叶わなくなっちゃいそうで、もったいなくて。
どうしても叶えたい夢が、最近できた。
病気にならずにいたら、こんな夢は持たなかったかもしれない。
何も怖いものなんてなかったから、ヨボヨボのばあちゃんになってからでもできると、余裕があったから。
でも、再発を前にしてみたら、その思いは一層強くなった。
この再発を克服して、時間がかかっても南高を卒業して、今度は補欠の夢を支えて。
補欠のお嫁さんになって、夏井響也に永久就職。
「あたし、夢があんの」
しゃくりあげながら言うと、枕に顔をうずめる母の肩がピクリと動いた。
「まず、補欠に甲子園に連れってもらう」
その補欠には、愛想を尽かされてしまったのかもしれないけど。
「それから、南高校を卒業する」
できれば、結衣、明里、花菜ちん、それから、健吾、補欠と一緒に。
「んで、世界をまたにかける通訳」
「ほう」
枕に顔を押し付けたまま、母はフフと声を漏らした。
「そりゃ、でっかい夢だな」
あたしは鼻水をダラダラ流しながら、母を睨んだ。
「けど、もっとでっかい夢があんの」
「……何だ」
ゆっくり、顔を上げた母の目はうさぎのようにまっ赤だった。
その夢がもし叶うなら、甲子園も卒業も、世界をまたにかける通訳も、潔く諦められる。
それくらい、今のあたしにとってはでっかい夢かもしれないけど。
「けど、こんなことの繰り返しじゃ、叶えらんないと思う」
「分かんないだろ。叶うかもしれん」
母とあたしは睨み合いながら、ボロボロ涙をこぼし続けた。
あたしの一番の夢。
まだ、誰にも言った事ないけど。
だって、口に出したら叶わなくなっちゃいそうで、もったいなくて。
どうしても叶えたい夢が、最近できた。
病気にならずにいたら、こんな夢は持たなかったかもしれない。
何も怖いものなんてなかったから、ヨボヨボのばあちゃんになってからでもできると、余裕があったから。
でも、再発を前にしてみたら、その思いは一層強くなった。
この再発を克服して、時間がかかっても南高を卒業して、今度は補欠の夢を支えて。
補欠のお嫁さんになって、夏井響也に永久就職。



