夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

そうか。


こんなしょうもないあたしを、待っていてくれる人がいるのだ。


こんな、どうしようもない、あたしを。


心強かった。


そうか。


あたしはひとりじゃないんだな。


携帯電話をぎゅっと握り締めて、夜空を見上げた。


さっきまでまばらだった星が一気に増えて、群青色の夜空を明るくしていた。


人間の心というものはいかに弱く脆くて、しかし、なんと強く頑丈にできているのだろうか。


あたしにはかけがえのない家族がいる。


ひとりはこの空から見守ってくれていて、家に帰れば三人もいるのだ。


あたしは単純だ。


母の声を聞いただけで、背筋がしゃんと伸びきっていた。


満天の星を見つめながら、深い深い深呼吸をした。


夜の空気が、あたしの心を浄化していく。


お前はひとりじゃないじゃないか、翠。


自分の信じる道を真っ直ぐ行こうじゃないか、あたし。


キラリと輝いた春の北極星が、そうさ! 、と頷いたように見えた。


謝ろうと思った。


明日、補欠に会ったら、一番に。


昨日はごめん、て。


あたし、どうかしてたんだ、って。


あたしらしく、真っ直ぐ、元気に。


補欠は許してくれるだろうか。