夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「へん? どこが?」


体温で溶けた粉雪が、前髪からポツポツと滴り落ちた。


「貧血気味とか?」


涼子さんが心配そうに、あたしの顔を覗き込んでくる。


「いや、全然。絶好調だけど」


何で? と逆に聞くと、涼子さんは伏し目がちに言った。


「なんか……変だよ。壁に激突したり、物掴めなかったり……よろけたり」


それはたぶん、今、あんな現場を目の当たりにしたからだ。


そう思った。


この時は本当に、そう思った。


「あたしの心配よか、自分の心配しろよ」


ガハガハと大口で笑うと、涼子さんが愛らしい目をぱちくりさせた。


「本間先輩だっけ? あんま冷たくすんなって。あの人、あんたのこと超好きじゃんか」


「え……あ……」


「超一生懸命に見えたけど」


「……あ」


困った、とでも言いたそうに涼子さんが苦笑いした。


「あの先輩、優しい人だと思う」


え、と涼子さんが目を丸くした。


やっぱり、どんな表情でも涼子さんは清楚だ。


「いや、前に一回だけ話したことあるんだけど。優しかった気がする。考えてみればいいじゃん」


て、あたしが言える立場じゃないけど。