そして、ぎゅうっと握り締めて唇を噛む。
「約束する。絶対、甲子園行くからよ! だから、それはその時までの人質にしといてくれ」
必死に笑顔を作ってしっかり頷いたあっこが大切そうに握り締めたのは、健吾の第二ボタンだった。
ピューウ。
あたしは小さく口笛を鳴らした。
「やるう、健吾」
健吾の頭の中は野球のことばかりで、ボールが詰まってんじゃないか、なんてバカにしてたけど。
でも、まさか。
その健吾が、こんな粋な行動に出るとは。
「ぶったまげたぜ、バカ健吾」
笑うあたしを、補欠が肘でドンと突いた。
「第二ボタンて、卒業式に女がねだるもんじゃねえか? 普通」
「……」
「今渡したって意味ねえじゃん。しかも、健吾から」
「補欠……」
あたしは軽蔑の眼差しを補欠に向けた。
えっ、と補欠が戸惑う。
ここに、ひとり。
健吾より女心の分からん男がいる。
「知らないのか? 第二ボタンにも色々と意味があるんだぞ」
「そうなのか?」
「これだから、お前は補欠なんじゃ」
突っぱねて、あたしは視線を二人に戻した。
確かに、卒業式という大イベントには外せないアイテム。
第二ボタン。
「約束する。絶対、甲子園行くからよ! だから、それはその時までの人質にしといてくれ」
必死に笑顔を作ってしっかり頷いたあっこが大切そうに握り締めたのは、健吾の第二ボタンだった。
ピューウ。
あたしは小さく口笛を鳴らした。
「やるう、健吾」
健吾の頭の中は野球のことばかりで、ボールが詰まってんじゃないか、なんてバカにしてたけど。
でも、まさか。
その健吾が、こんな粋な行動に出るとは。
「ぶったまげたぜ、バカ健吾」
笑うあたしを、補欠が肘でドンと突いた。
「第二ボタンて、卒業式に女がねだるもんじゃねえか? 普通」
「……」
「今渡したって意味ねえじゃん。しかも、健吾から」
「補欠……」
あたしは軽蔑の眼差しを補欠に向けた。
えっ、と補欠が戸惑う。
ここに、ひとり。
健吾より女心の分からん男がいる。
「知らないのか? 第二ボタンにも色々と意味があるんだぞ」
「そうなのか?」
「これだから、お前は補欠なんじゃ」
突っぱねて、あたしは視線を二人に戻した。
確かに、卒業式という大イベントには外せないアイテム。
第二ボタン。



