夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「健吾!」


あたしは、その背中に聞いた。


「お前は? 好きか? あっこのこと」


タン、と階段で立ち止まり、ひとつ間があってから健吾が見上げてきた。


「おれはな。けど、振られたんだからどうしようもねべ」


そう言って、健吾はスタスタと階段を下りて行った。


踊場に立ち尽くすあたしの頭を、補欠がポンと弾く。


見上げると、そこにはひだまりのような優しい笑顔があった。


「残りの後片付け。おれが翠の分もやっとくよ」


「へ?」


「行ってやれよ。あっこの話、聞いてやりな」


ポンポン、と二度頭を叩いて補欠が階段を降りて行く。


補欠は大人だ。


物静かで冷静で、人の気持ちをちゃんと分かっていて。


やっぱり、好き。


補欠の背中を見つめていると、


「おー、夏井。今日の練習4時半からだってよ」


数人の一年生野球部が階段を上って来た。


「健吾にも伝えといて」


「うん」


頷いた補欠に、あたしは叫んだ。


「補欠!」


補欠と野球部数人が同時に振り向いて、あたしを見上げた。


「あんがと! そーゆうとこ、まじで好き!」