夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「じゃあなんでそんなに泣くんだよ」


まいったな、と本当に困った顔で、健吾があっこの手首を掴んだ。


「とりあえず、立てる? 一応、保健室に行った方が」


と健吾があっこを引っ張り上げようとした、その瞬間だった。


「……好きです」


「「……へ」」


不意に健吾と重なったあたしの声は、とにかく間抜けだった。


小さな顔を小粒の雫がぽろぽろ伝い落ちる。


制服のスカートの上で、雫がはじけて細かく砕け散る。


「健吾くんのことが……好きです」


苦しそうにしゃくりあげながら、あっこはうなだれてしまった。


あっこの細い手首を掴んだまま、健吾は雪女の冷たい息をフーッとかけられたように、


「……」


一瞬で固まってしまった。


「もうやだ……絶対言わないつもりだったのに。決めてたのに……我慢してたのに……苦しくて」


しゃくりあげながら、途切れ途切れにあっこがつぶやく。


何かを訴えるように。


「私の気持ちなんて……迷惑になるだけだから。だから、伝えずに終わらせようって……決めてたのに」


あっこの声は震えていた。


たぶん、これはあっこの心の悲鳴なんじゃないかと思った。


なんだか見ていられなくて、あたしは後ろを振り返った。


補欠と目が合う。