夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

わんわんぎゃんぎゃん言い争い、制服を掴み合い、威嚇し合うあたしと健吾にさりげなく割って入ったのは、補欠だった。


「なあ、おい……」


「「何だ! 邪魔すんな」」


声を重ねて同時に睨むあたしと健吾を、いつにも増して冷静沈着の眼差しの補欠が言った。


「あっこが泣いてる」


ハッとして見ると、ダンボールに埋もれながら、小さくうずくまってあっこは泣いていた。


小さな肩をすくませ、小刻みに震わせながら。


何かを辛抱強く堪えているのに、でも、もう我慢の限界で、堪えきれなくなってしまった。


とでも例えたらいいだろうか。


きれいに整った眉毛が極端に八の字を描いて、整った顔立ちをくしゃくしゃに歪めて。


おちょぼ口をきゅっとしばって。


ぽろぽろ、ポロポロ。


小粒の涙をとめどなく溢れさせていた。


小さな頬を伝い落ちる涙にどれほどの葛藤が詰まっていたのか、あたしには想像もつかなかったけど。


だけど、その歪んだ表情は猛烈に切なくて。


見ているこっちまでもらい泣きしそうなほど、苦しそうで。


あたしは声をかけることさえためらった。


「どどどどうした、あっこ。どっか痛いか? ケガしたのか?」


青ざめた顔色の健吾が、慌ててあっこの周りのダンボールを掻き分ける。


あっこは口を結んだまま、ぷるぷると首を振った。