夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

足から一気に力が抜けた。


あたしはとっさに補欠の学ランにしがみついた。


「えっ……」


慌てて唇を離した補欠が、とっさにあたしの腰に腕を回して持ち上げる。


「翠?」


いかん。


くらくらする。


どうやら、あたしは相当のめり込んでいるらしい。


夏井響也という、世界にたったひとりしかないない人間に。


恋ってのは、恐ろしい。


この天下無敵、怖いもの知らずの翠様でさえ、


「補欠……いい加減にしてくれ」


一発で骨抜きにされてしまうのだから。


これ以上骨を抜かれでもしたら、歩けなくなりそうだ。


「力が入らん」


「おいおい……まじかよ」


くらくらしてへたり込むあたしを支えたまま、補欠も一緒に床に座り込んだ。


腰が抜けたわけじゃない。


ただ、その真っ直ぐな瞳とキスに、腰砕けにあっただけだ。


腰ってのは病気よりも恐ろしい。


恋人になるということは、こんなに大変なことなのか。


息ができなくなるほど、ドキドキしなきゃならんのか。


それじゃあ、この先。


あたしはどれくらい腰砕けになってしまうんだろう。


これは……大変だ。