夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

大きな分度器、先が欠けた三角定規、錆び付いた大きなコンパス。


色褪せた暗幕に、擦り切れた紅白の垂れ幕。


普段は開かずの間と化している教材室は、ガラクタの宝島みたいでわくわくした。


しかし、せまいったらない。


「翠、もうちょい斜めにしないと看板入れれないぞ」


狭くて圧迫感たっぷりの通路を、あたしと補欠は声を掛け合い、看板を傾けながら進んだ。


「分かってらい。気をつけな、補欠。ぶつかったら崩れるぞ、このダンボール」


「おー。てか、おれよか自分の心配しろよ」


「なにー! 彼氏の心配して何が悪い!」


「……そういう意味じゃなくて」


看板を壁に立て掛けて、あたしたちは同時にふうーと一息ついた。


補欠と目が合う。


「「何だよ、真似すんな」」


あたしと補欠は同時に吹き出して笑った。


無性にドキドキした。


どこもかしこもダンボールが積み重なっていて、触れようとしなくても肩が触れ合う。


黄ばんだカーテンを突き抜けて、太陽光線が射し込んでいた。


あたしはカーテンを見つめて目を細めた。


眩しい。


補欠もカーテンを見つめながら、目を半分にした。