夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「おうおうおう! 健吾」


ちょっと待て、彼の腕を掴むと、健吾があからさまな態度を示す。


眉間に深い深いしわをよせ集めて。


「なんだよー。また面倒なのが増えたぜー、響也あ」


「面倒とは何事か!」


「うわっ! 来んなよー! あっち行けー」


何だ、こいつは。


人をバイキンマンみたいに見やがって。


「なんだと! このカビルンルンめが!」


ドス、と背中をど突くと、


「はっ? なんでおれがカビルンルンなんだよ!」


健吾がハアーと背中を丸めた。


「どうした? 翠」


ああ、補欠はジャムおじさんみたいだ。


あたしがバイキンマンで、健吾がカビルンルンなら。


補欠は優しい優しい、ジャムおじさんだ。


「どうかしたか?」


クク、と笑った補欠にドキッとしながら、あたしは健吾から看板を奪い取った。


「あたしが代わってやる! 貸しな」


「はあ? 別に頼んでねえよ。気色わりいなあ」


意味わかんねえ、と看板を奪い返そうとした健吾のみぞおちを、あたしは肘でど突いた。


健吾が悶える。


「ぐはっ……てんめえ、何すん」