夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

その時、シャカシャカ音を立てながら健吾が割って入ってきた。


「響也」


顔中に小麦粉を飛び散らせながら。


「まじで代われば? これじゃ商品になんねえよ」


健吾は、あたしが刻んだ歪な形のキャベツを摘んで、ぷらぷらさせた。


「これ、千切りじゃねえよ……ぶつ切りだ」


うるせーな、と健吾に詰め寄ろうとした時、補欠の手が伸びてきて、ぶつ切りキャベツを奪った。


「ほんとだな」


呆れたように補欠は呟いて、あたしを真っ直ぐ見つめる。


「翠……お前、料理したことある? 包丁、貸してみな」


補欠も、そうなのか?


料理もできないようなガサツな女は……嫌?


あたしは、問題外?


「くれてやるわい」


あたしから包丁を受け取った補欠が、ぶつ切りキャベツを見つめてクスクス笑った。


「何だよ、これ」


もともと細い目を、もっともっと細くして。


「どうやったらこんな切り方になるんだよ」


「うっさいな! 補欠のくせに。教えてやろうか?」


だって、料理なんかしたことないもん。


「こうやるんだよ」


「あ……」


あたしは補欠から包丁を奪い返した。