夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

「キャベツ、キャベツ、キャベツ。またの名を“玉菜”と言う! オススメは油炒めである」


わけのわからないうんちくを言いながら、健吾は見るからに挙動不審になって、その場を離れて行った。


「やっといなくなった。邪魔でたまらん」


チッと舌打ちをする結衣に、


「野球バカのハゲが」


とキャベツを刻む明里。


「……」


でも、あっこは去って行く健吾の広い背中をじっと見つめていた。


文化祭の準備が始まった頃から、怪しいとは思っていた。


あっこと健吾の距離感が、なんとも怪しい。


でも、このふたりに待ち受けていた恋は、それはそれはほろ苦くて、切ないものだった。


思い出すと、胸がぎゅうっと鷲掴みされるような。


それは、もう少しあとの、初雪が降った日のことだった。


「ミックス二枚ちょうだい」


「おす」


店先に姿を現した女子生徒ふたりを見て、一瞬ドキリとした。


蝶ネクタイの色が水色だったからだ。


でも、涼子さんじゃないと分かって、こっそりほっと胸をなで下ろした。


「二枚でいくらですか?」


「600円すね」