夜の雨の香りと貴方。







そう被害妄想すると急に泣きたくなって、涙が溢れた。


雨なのか自分の涙なのかわからない液体が頬を伝う。



……このまま夜の世界に溶け込んで消えてしまいたい。


黒く、深い闇の中へ。



もう、脱け出したいよ此所から。

……もう十分。



立ち上がって、道路に飛び出そうとした時、



「ごめんっ!!!」



黒いスーツを身に纏った男がこちらに走って来た。