あれは去年の冬だから、ちょうど1年位前になる。
美穂はその日、国際弁護士である両親と共に、披露宴に出席していた。
母親と同じ事務所の後輩の結婚式だ。
それはそれは豪華なモノだった。
しかし、美穂にとっては楽しくも何ともない。
確かに花嫁の純白のウエディングドレス姿には見惚れたし、色鮮やかなフレンチも中々の美味だった。
一通りの礼儀作法を幼い頃から体に叩き込まれているので、難なく軽やかにフレンチも食べてみせる。
ただ、それだけ。
母親の事務所関係者に挨拶して回ったりして、“良い娘”を演じるのにも飽きてきた頃だった。
「美穂もいつかはこうやってお嫁にいってしまうんだなぁ…」
父親が目を少し赤らめて言う。
「やだ、あなたったら。
まだ20歳にもなっていないのに。
ねぇ、美穂?」
母親が口にハンカチを当てながら美穂の方を見る。
「いくら一人娘だからって、そんな事言っちゃって。
私が一生独身でも良いの?」
美穂は軽く拗ね気味に言ってみせた。
結婚しなかったらしなかったで、孫の顔が見たいだの何だの言うくせに…。
大体、母親が言うように、大学生活も始まったばかり。
何て気の早い父親なんだろう。
「ちょっと、お手洗いに行ってきます。」
美穂はそう言って席を立った。
外の空気が吸いたくてたまらない。
美穂はその日、国際弁護士である両親と共に、披露宴に出席していた。
母親と同じ事務所の後輩の結婚式だ。
それはそれは豪華なモノだった。
しかし、美穂にとっては楽しくも何ともない。
確かに花嫁の純白のウエディングドレス姿には見惚れたし、色鮮やかなフレンチも中々の美味だった。
一通りの礼儀作法を幼い頃から体に叩き込まれているので、難なく軽やかにフレンチも食べてみせる。
ただ、それだけ。
母親の事務所関係者に挨拶して回ったりして、“良い娘”を演じるのにも飽きてきた頃だった。
「美穂もいつかはこうやってお嫁にいってしまうんだなぁ…」
父親が目を少し赤らめて言う。
「やだ、あなたったら。
まだ20歳にもなっていないのに。
ねぇ、美穂?」
母親が口にハンカチを当てながら美穂の方を見る。
「いくら一人娘だからって、そんな事言っちゃって。
私が一生独身でも良いの?」
美穂は軽く拗ね気味に言ってみせた。
結婚しなかったらしなかったで、孫の顔が見たいだの何だの言うくせに…。
大体、母親が言うように、大学生活も始まったばかり。
何て気の早い父親なんだろう。
「ちょっと、お手洗いに行ってきます。」
美穂はそう言って席を立った。
外の空気が吸いたくてたまらない。