教壇に立った飛鳥井は、軽く座席表に目を通す。
それから、静かに、それでいてよく通る声で第一声を発した。
「徒野夕吉」
クラス全員一斉に、窓際一番後ろの席を振り返る。
飛鳥井に名前を呼ばれた当の本人は、読書にふけったまま全くもって周りの空気を読んでいない。
そのため、勿論返事をしない。
銀縁の細いフレームが特徴の眼鏡の奥の目は完全に凍てついており、飛鳥井の顔を覗き見た誰もが一瞬にして固まった。
「お、おい…徒野」
とうとう勇気を振り絞った一人の男子が、沈黙を破って隣の夕吉の机を指で叩いた。
ようやくゆっくりとした動作で夕吉は顔を上げる。
その手にある小説を開いたままで。
「HR中に読書とは良い度胸だな、徒野」
こうして夕吉は、初日から飛鳥井鉄朗という教師に目をつけられてしまったのである。
それから、静かに、それでいてよく通る声で第一声を発した。
「徒野夕吉」
クラス全員一斉に、窓際一番後ろの席を振り返る。
飛鳥井に名前を呼ばれた当の本人は、読書にふけったまま全くもって周りの空気を読んでいない。
そのため、勿論返事をしない。
銀縁の細いフレームが特徴の眼鏡の奥の目は完全に凍てついており、飛鳥井の顔を覗き見た誰もが一瞬にして固まった。
「お、おい…徒野」
とうとう勇気を振り絞った一人の男子が、沈黙を破って隣の夕吉の机を指で叩いた。
ようやくゆっくりとした動作で夕吉は顔を上げる。
その手にある小説を開いたままで。
「HR中に読書とは良い度胸だな、徒野」
こうして夕吉は、初日から飛鳥井鉄朗という教師に目をつけられてしまったのである。


