「…近衛さんと同じ、ですか?」
「うん」
(いやいやいやいや…)
それはないでしょーよ。
思わずポロリと千晴が空けた口から大学芋がこぼれ落ちる。
「いやー…でもでも近衛さんて前の番長倒したわけだし、恐い人たくさん連れてるし…番長だし…とても私みたいな小心者には見えないんですが」
そりゃあ、
少し頼り無さそうだけれど爽やかな好青年を誰が不良を従えるお山の大将だと見抜けるだろうか。
それでも、
彼は確かに旧校舎にて不良達を従えていたし、前の強面番長を倒したのも近衛隆太で間違いない。
「前の番長は、かなりの喧嘩強い人だったって聞いたことあるし、わ、私も実際会った時はあまりの恐さに固まってしまったから…そ、んな番長を倒した近衛さんて相当強いんじゃ」
僅かに長い台詞に疲れて最後の方が尻すぼみになってしまうが千晴は何とか伝えた。
ところが近衛は力いっぱい首を振って否定してきた。
「違うよ、逆なんだよ。とっても恐がりで、どうしようもない小心者だからこそ武術を身につけたんだ」
「…そうなんですかー」
「そうだよ。九十九さんの事だって最初は、旧校舎で呼び出して集団でやっつけるつもりだったんだ。そうすれば、たくさん人数がいるから恐くないし二度と立ち上がれないくらいに痛めつけて病院送りにしちゃえば、仕返しされる心配もないでしょ?…俺、恐がりだから」
「そっかそっか…」
(アンタが一番恐いよ)
ぶるり、と千晴の背中に悪寒が走った。


