「久しぶりに頼にも会えたことだし、それじゃあ私は、ここら辺で、」
それから千晴は、極自然に見えるように本を抱えてから席を立とうとした。
しかし、
「なんだよ〜、つれないなあ」
真後ろにいる頼と机に挟まれて立ち上がることを防がれてしまう。
「つれなくなんてない…これくらいがフツーだよ、フツー」
「ふぅん?じゃあ俺だってフツーだよ、もっと前みたく話そうよ」
「や、前もこんなんだったよね」
千晴が冷たく言えば、頼は「あはは、そうだっけ」と笑った。
「なぁ、ちはるは俺が嫌い?俺の髪や目が錆びた鉄みたいな赤色してるから?」
「どう考えたってそこじゃないよー、」
(…性格の方だよ)
そう言いたくても口に出せない千晴は、やはり臆病者。
「え〜、ひっどいなあ。俺は、ちはるが好きで堪らないないのに」
「う、嘘くさいよ」
(堪らないって何だ、堪らないって…)
千晴は頼が大嫌いだった。
何故なら、いつも頼が千晴に好きだと告げるから。
「嘘じゃないよ、俺は、ちはるが好きだ。だから長い間会えなくて俺ずっと寂しくて死んじゃうかと思ったのに、ちはるは図書室で毎日楽しく過ごしてるだなんて、ちょっと酷いんじゃないかなあ?」
過度に優しく甘い言葉は薄ら寒く聞こえる。


