「んー……」 「なに?」 「俺は『わ』だから最後見りゃいいんだけど『さ』って難しいのな」 こんな風にいつも困ってると大概黙って助けてくれるんだ。何も言わないで。 それが彼の心からの優しさなんだと思う。 「お前、2組」 「へ」 顔をあげると優しげに口角を上げた流星と目が合う。 「へ、じゃなくて。…ちなみに五月蝿いあいつらも」 五月蝿いあいつら、とはリョウに杏のことだ。安堵の笑みがこぼれる。離れなくて、良かったぁ……