通い慣れた君の部屋、 目を伏せてもわかるベッドの位置や 呼吸を止めても思い出す煙草の香り、 僕の全部に染み付いた君が、 眉毛ぎりぎりの君の前髪、 耳にかける指の短い白地の キャンパスのような爪が、 「私…奇羅と別れたい。」 ドクン。 え? 思考能力一斉停止。 頭が真っ白になるって こんな感覚なんだな。 でも———。 僕はすぐ笑顔になった。 「嘘つき」 「…何でばれんのーっ!?」 無自覚な君の天然さ、