「よりにもよって、何で藤田が朱里と一緒なのよ!」





「知らねえよ。先生にでも聞け」





「意味分かんない!もう!3人一緒がよかったのに!」





あたしは、そんな恵衣の声が


耳に入らないくらい。


十夜と一緒で嬉しかった。


なるなんて思ってなくて。


こんなこと、奇跡としか思えなくて。






「朱里」





なんて考えてると、


急に十夜が名前を呼んで来て。





「先行ってるぞ」





「あ、うん」





高校最後の1年、


十夜と同じ教室で


過ごせるんだなと思ったら。


もう、踊りたくなるような


気分だ。






「もう、藤田と朱里が一緒なんてずるいっ」





「恵衣、まだ言ってんの?いいじゃない、喜んであげなさいよ」





「あ、それもそっか。おめでと、朱里!」






ころころと表情を変える恵衣。


呆れて言葉も出ない麗華。





「邪魔者はあたしたちの所にいるから安心して」





「邪魔者?」





「りーなーちゃん」





あ、見るの忘れてた。


そうだね。


もし十夜と一緒でも、


里菜ちゃんと一緒じゃ


喜べないよね。







「ま、体育とかは一緒だけど。今までと変わらず、一緒に帰ったりしようね!」






「当たり前だよ。絶対ね」






心躍らせる。


この1年、何が起きるのか。


誰と仲良くなれるのか。


そんな気分で、


朝のHRを迎えた。


席順は、廊下側から出席順。


あたしは後ろから2番目で、


十夜はあたしの左斜め前だった。






「おー、待たせたな」






ガラガラと音を立てて、


入って来た男の人。


その人が担任の先生で、


思ってもいなかった人。






「今年1年、担任になった関根です」





関根じゃん、まじか…。


担任確認するの忘れてた。


…まじか。