「あたし、別れないからっ」
「俺は、お前を好きだなんて思えないんだぞ?」
「それでもっ…一緒にっ、」
「限界なんだわ、悪い」
これ以上何も言えなくて、
黙って去った。
後ろで悲痛な叫びを
俺にぶるける里菜。
振り向くことなく、
俺は家に向かった。
里菜がこれから何をするのか、
正直怖いけど。
朱里が傷付くなら、
俺が守ればいいだけの話。
俺はもう、
里菜とは。
咲坂とは、いられない。
自分でも、最低な奴だと思う。
俺を好きだという咲坂の気持ちを
利用した。
謝罪も上手く伝えられなくて。
ただ逃げた俺を、
お前は許してくれるのか。
このまますんなりと
いくわけはないと思ってるけど。
少しずつ。
少しずつ、時間をかけて
解決していこうと思う。
こんなにも、朱里を愛した、
俺が悪いんだから。