雨のち晴






「ばっ…」




俺は一心不乱で走った。


テントを抜けて、


朱里の元までが長く感じて。


どうか無事で、って。


ただそればかりで。








「あ、大丈夫…このくらい、」






近くに言って聞こえた朱里の声。


こいつは、本当に。


何言っちゃってんだ。







「あ、本当大丈…」



周りのやつらに、


大丈夫?って聞かれて。


笑って答える、ばかな朱里。


見て分かるだろ、大丈夫じゃねーの。





「何が大丈夫だっての、ばか」





俺は駆け寄って、


近くにしゃがみ込みそう言ってやる。


何でお前がここにいるの?


そう言いたげな朱里を完全に無視。


来たくて来たんだって。


なんて言えない。








「すいません。こいつ、保健室運ぶんで…続けて下さい」





先生にそう言って、


朱里をお姫様抱っこする。


軽っ。


って思って、にやけ。


朱里は驚きのあまりに固まっていて。






「暴れんなよ。落とすぞ」




そう言って、笑った。


落とすわけねーけど。


てか、お前と堕ちたいんだけど。


なーんて。







「十夜…っ」





少し声が震えていて。


泣くくらい痛いのか、って


思った俺は。






「どうした?痛いか?我慢しろ、もうすぐだ」





そう言って安心させる。


朱里はそれを聞くと、


俺にしがみついてぎゅっと


してきた。


そんなに痛いなら、変わってやりたい。


と、同時に。


このまま校内1周、いや2週?


してやろうかと本気で思ったりして。