*** そのケンカが始まったのは突然のことだった。 「…本当に、ごめん」 羽美からの返事はない。 自分で自分にため息をつく。 何をやっているんだろう。 彼女が身長のことを気にしているのは知っていたのに。 だからずっと触れないようにしてきたのに。 最低だな、俺。 けれど小さな君がかわいいと思ったのも、本当なんだよ。 頭を冷やすために外に出ると、上着を着ていない自分には少し厳しい寒さが迫ってきた。