私は夫に内緒で、電車で一時間程の距離にある総合病院へと向かった。
夫に伝えれば気に病むだろうし、それ以上に……私は怖かった。
もしも……子供ができない身体だったなら……。
夫のそばに、居られなくなるかもしれない。
そんな恐怖感が、私を支配していた。
その総合病院には、知り合いの産婦人科の医師がいる。
正確には、夫の友人。
「やぁ、久しぶりですね。咲子さん」
「お久しぶりです……」
訪れた私に、その産婦人科医は、白衣の襟を直しながら笑顔を返してきた。
だが私は、夫の友人である金森に対し、好意的な気持ちになれた事は無かった。
目付きが嫌なのだ。
まるで品定めでもするかの様な舐める視線が、私は嫌だった。
夫とは正反対の、不誠実さを感じる。
なぜ夫の友人なのかが不思議なくらいだ。
だが、背に腹は変えられない。
私は、藁にもすがりたい気持ちだったのだから。
「不妊治療ですか?」
「ええ……」
私は、医師である金森に治療の相談をした。
夫に伝えれば気に病むだろうし、それ以上に……私は怖かった。
もしも……子供ができない身体だったなら……。
夫のそばに、居られなくなるかもしれない。
そんな恐怖感が、私を支配していた。
その総合病院には、知り合いの産婦人科の医師がいる。
正確には、夫の友人。
「やぁ、久しぶりですね。咲子さん」
「お久しぶりです……」
訪れた私に、その産婦人科医は、白衣の襟を直しながら笑顔を返してきた。
だが私は、夫の友人である金森に対し、好意的な気持ちになれた事は無かった。
目付きが嫌なのだ。
まるで品定めでもするかの様な舐める視線が、私は嫌だった。
夫とは正反対の、不誠実さを感じる。
なぜ夫の友人なのかが不思議なくらいだ。
だが、背に腹は変えられない。
私は、藁にもすがりたい気持ちだったのだから。
「不妊治療ですか?」
「ええ……」
私は、医師である金森に治療の相談をした。