間違いない。 いつもテレビに映っていたから覚えている。 私がそう言うと、彼は少し驚いた。 「俺の名前知ってるなんて。あ、ファンの子?」 と嬉しそうにくしゃっと笑う。 ...もしかして、私がマネージャーって知らない、とか? 「あ、この辞書返さないと」と思い出したようにつぶやく。 でも、私が重い辞書を5冊も運んでいることに気づき、3冊持つのを手伝ってくれた。 「確か現国は佐々木だったよね? 女の子にこんな重いものを持たせるなんて、酷いね」 と共感してくれた。