避難所の入口で棒のように立ち尽くした私に二人の年配…恐らく50代位の女性が話し掛けてきてくれた。


「大丈夫かい?津波にやられたの?」

「服も濡れて…風邪引いたら大変だからこれ掛けてなさい。」


大丈夫、と聞いてきたのは井上さんと言う人だった。
私に自分が掛けていた毛布を肩から掛けてくれたのは新田さんと言う人。

みんな被災して大変なのに、助けてくれた男性も、井上さんも新田さんも…みんな優しくて、止まっていた涙がまたボロボロと流れた。


「あったかい物がないから寒いけど、ごめんねぇ…」


新田さんが私の背中を摩りながら謝る姿にまた涙が止まらなかった。

寒いのも怖いのも、みんなみんな一緒なはずなのに…申し訳なさと有り難さで私は謝る事とお礼を言う事しかできなかった。