あたしはなにも言わずに、どうして?という視線を投げかけるとアオくんはフッと笑う。 いつもより、心なしか苦しそうな笑顔だった。 「昔に縛られないで、今の里沙と一緒にいたいと思ったから。 記憶がなくても、里沙の気持ち、少しは俺に傾いていただろう?」 「うん…」 気づけばまた、涙を流していて。 …記憶が無くたって、あたしはアオくんに惹かれてたよ。 一緒にいて、安心するのも。 それに伴うようなドキドキも。