少しニヤついたあたしの顔を凍らせたのは冷たい声だった。


「君の気持ちには応えられない。好きな人がいるから」


スパッと言い切るその声は…、中沢くん?


いつもの雰囲気とは違うけど、多分そうだ。


「その好きな人は誰なんですか?」


女の子は泣いているのだろう、鼻をすする音がする。


女の子の質問…、あたしも気になる。


いや、別に気にすることないよね?


でも聞きたい…。


頭の中に考えを巡らせている間、中沢くんは答える気配がない。