僕の愛した生徒



そこで

僕の目に映った奈菜は
窓から差し込むオレンジの光に包まれながら

手の中で開いている本をただじっと見つめていた。


温かいこの部屋で見る

その光景はキレイ……



でも

奈菜の横顔に表情はなく、

そこだけ、まるでこの空間から切り取られているように冷たい。



奈菜……?



その後
何度か名前を呼んで、ようやく僕の声に気づき、驚くように振り返った奈菜は

感情を持ってはいないような
冷めた顔をしていた。



初めて見た奈菜の顔。

それは僕の見たことのない別人のような顔で、怖いとさえ思った。



でも、僕はそれに気づかない振りをして


「何度も呼んだんだけど……
どうした?
そんなに集中するほど、面白い本があった?」


いつも通りを装って尋ねる。


すると、途端に奈菜の表情には温度が戻り、ふわっとした笑顔が広がった。


「面白い本なんてない。
だって全部、英語なんだもん」



そう口を尖らせる奈菜は
いつもの奈菜で、僕はホッと胸をなで下ろす。



奈菜に感じたあれは一体、
何だったんだろう?

あの冷たい表情は気のせいか?